認知症と歯の関係

 65歳以上の4人に1人が認知症かその予備軍と言われる日本。

認知症を予防し発症しても進行を遅らせるには「歯の健康」が欠かせません。

特に大切なのは「しっかり噛むこと」です。

65歳以上の方で歯の残存数が20本以上ある人と、歯がなく義歯も入れていない人では認知症になるリスクは1.9倍だそうです。食事の時やガムなどを噛んだときに脳の血流が増えるのは高齢者ほど大きいということもわかっています。

特に、集中力や意欲、共感力といった「人間らしさ」をつかさどる前頭前野の血流が増えて活性化するのです。

 噛むことによって脳の血流が良くなると神経回路を通じて脳への刺激が送られます。ただし、歯がなければダメかというと、そうではありません。噛むことの刺激は歯からだけではなく、粘膜や神経からも脳に伝わっていきます。

歯を失っても、入れ歯やインプラントを使うことによってしっかり噛むことができれば、歯を失っても脳を活性化することは可能なのです。

 日本人は歯周病が進んで噛みづらくなっても歯を残したがる傾向がありますが、グラグラした歯では十分な咀嚼ができません。入れ歯にしている人の方が噛む力が強い場合もあります。歯を失い、何も入れずに噛み合わせが悪くなることで全身のバランス感覚も崩れるのです。単に義歯が入っているだけでなく、正しい噛み合わせの義歯をつけることで転倒などによる骨折を防ぎやすくなります。

大切なのは、歯の数よりも本当に噛めているかどうかなのです。しっかり噛んで健康寿命を延ばしましょう。