病気と投薬、食事との関係(時間栄養学)

 

早朝に花粉症やインフルエンザが悪化しやすい、午前中に心筋梗塞や脳梗塞が発症しやすいといったように、病気には発症しやすい時間帯があります。

脳梗塞が発症しやすい午前8時は、最も発症しにくい午前0時と比較すると10倍以上もリスクが高くなっています。このため、投薬時間を工夫するなどの努力を、医療関係者は行っています。

 また高血圧に関しては、早朝に血圧が高い人(早朝高血圧)夜間に血圧が低下しにくい人などさまざまです。

夜間に血圧が低下しにくい人には、夜間によく効く薬を処方するのが合理的です。

コレステロールの合成も夜間に活発になるため、投薬は夜を主体にしたほうがいいなど、効果的な対処法が考えられます。

食事をどんな時刻にどのように食べるのがいいかといった点をベースに、病気を予防することができないだろうかと期待されているのが時間栄養学です。

例えば、ビタミンB12を吸収しやすいのは午後の早い時間帯です。

そのタイミングに合わせて、ビタミンB12が豊富なシジミやあさりといった貝類、牛・豚・鶏のレバーなどを食べれば、効果的にビタミンB12を体内に取り入れることができると考えられます。

 高血圧の大きな原因は、塩分の過剰摂取といわれています。

そのため減塩が推奨されているのですが、連日毎食続けていると、薄味に飽きて減塩を続けられないという人も多いといいます。

そのため、夕食なら少しだけ減塩をサボっても、体への影響は朝食や昼食より少ないという専門家もいます。

これは、塩分が体内に再吸収されるときに働くホルモン・アルドステロンの分泌のタイミングが関わっているからだとされています。

カルシウムが体内に蓄積されるのは夕方以降です。そのため、夕食でカルシウムを豊富に含む食品を摂ることは、骨粗鬆症の予防につながる可能性があります。
カルシウムの蓄積という観点からみると、朝よりも夕方以降に牛乳を飲むことはお勧めです。

それを時間栄養学的に考えれば、よりカルシウムが蓄積されやすい夕方以降の時間帯にとることが効果的だという結論になるのです。

時間栄養学は、今後も、食事をどんな時間にどのようにとったらより健康に役立つか、研究がすすめられ、広められるようになりそうですね。